ロードバイクの技術の中で1番重要なペダリング。綺麗に脚を回す技術も必要ですが、それを支え軸となる体幹を鍛えるメニューを紹介しましょう。
ロードバイクに限らず、サッカーやその他スポーツ全般に必要不可欠とも言われる体幹。体幹を鍛えれば、ペダリングがブレずにできロードバイクを効率よく進ませられるでしょう。
上達するには簡潔にいうと、「ペダリングは腰から上はまったく動かさず、足だけを回転させるのが理想」ということです。
体幹がブレるということは、ブレる方向へペダリングの力が逃げているということです。基本的には、サドルの上で腰を動かすことはありません。
ただし、例外的にヒルクライムや平地を単独で逃げているときなど、トルクが欲しい時は腰を前にずらしてペダリングします。
体幹ペダリングのポイント
体幹ペダリングのポイントは4つあります。
1.着地する足の骨の上に骨盤を載せることにより、頭から爪先まで重心が一直線になるので、筋力的な負担が少なくなります。
2.左右の足の振り出しは上半身からの旋回運動(背骨を中心軸と見立て、両腕の振りのタイミングで腰を捻る)によります。モンローウォークをイメージするとわかりやすいです。
3,使用する筋肉は尻やハムストリングなど、耐久性のある脚の裏側の筋肉が主となり、脚を前に蹴り出す時ではなく、着地してから脚を後ろに引く時にパワーを使います。
4,スピードの調整は骨盤の角度で行います。骨盤を前に倒せば倒すほど、重心的に前につんのめるようになり、スピードが上がります。
上記4点のどこにも「体幹」という文字はありませんが、これら全ての動作に体幹が必要不可欠になります。
一般的に体幹というと、腹筋や背筋、腸腰筋など、バランスを司る腰回りの筋肉のことだと思われているが、私的には人がバランスを取って直立する上で必要となる機能・ノウハウすべてが「体幹」なのだと考えています。
要は腹筋や背筋を鍛えても必ずしもバランス力がアップするわけではない、上達するには、それなりのコツがいるということです。
片足立ち
簡単な例を挙げると、片足立ちがわかりやすいでしょう。人によって色々やり方があるとは思うが、その中でも一番簡単で、しかも長時間片足立ちを保てる方法は、上記の1で挙げたように、足の骨の上に骨盤を載せてしまう、すなわち、重心を足の股関節の上に持ってくる方法です。
これは片足でバランスを取る上で最も少ない筋力で行えるやり方であり、かつ最も「体幹」を意識した片足立ちといえます。
すなわち、体幹を使う、意識するというのは、筋肉というよりもむしろ「骨」の使い方の方が重要となります。身体のバランスの中心=重心を意識し、それを骨で支えることにより、楽に立ち、座り、歩き、走ることができます。
サドルへの座り方
まず最初に、サドルへの座り方について説明します。サドルに座る位置は前でも後ろでもなく、通常位置で構わないが、重心位置は座骨と恥骨の中間あたり、ちょうど両の腿の付け根あたりとなります。
イメージとしては、鉄棒の上に手放しで座った時に、どうすれば一番バランスが安定するかを考えてみましょう。すると、両腿の付け根、尻と脚の境目の位置に鉄棒がくるのが想像できるでしょう。
またこのように座ると、骨盤が立って腰が自然とまっすぐになり(腰の背骨の位置に軽くくぼみができる)、かつ頭が腰の垂直線上に乗って安定しているのがわかると思います。これが「体幹的に最もバランスが取れた」状態です。
なお鉄棒が意識できないのであれば、実際にサドルの上で両手放しになり、腰をまっすぐにして、その状態で重心が両腿の付け根にくるように調節してみましょう。身体の力を抜いても頭が自然と安定するようになればOKです。
さらに職場等であれば、椅子に浅く腰掛け(背もたれに背をつけない)、手は浮かして背筋を伸ばし両膝を曲げて床から浮かせた状態でバランスを取ってみよう。こうして手に入れた骨盤の角度が、移行の手順において重要になります。
次に、骨盤の角度を保ったまま、背中を自然に曲げて腕を前に延ばし、ハンドルに手を置きます。この際、ハンドルにはあまり体重をかけず、添える程度になるのが理想です。
骨盤の角度が保てず恥骨側に重心が寄ったり、腕・ハンドルに過度に体重がかかるようであれば、ステムの高さや長さを調整すること。
体幹ペダリングでは、「回す」「踏む」といった通常のペダリングで意識すべき行為を、ほとんど意識することがありません。意識するのはただ一つ、背骨を中心として軽く腰を左右に捻る、旋回させるということです。
体幹ペダリングのポイント
すると、腰の動きに連動して、両足が勝手に上下運動を始めるではありませんか。そう、これこそが体幹ペダリングなのです。
ポイントは次の2つです。
1つは、腰を捻る際に、腰だけというよりも上半身、肩胛骨の中心のあたりから連動して捻り運動が開始されるように意識すること。
2つめは、捻る方向が右から左、左から右にスイッチする瞬間(ペダルの位置は上死点および下死点)に、最大のパワーを入れることである。
特に後者は、結果的に1時~3時のあたりで最もパワーが発揮されるようになるため、スタミナのあるハムストリングスや尻の筋肉を有効に使える一方、踏み込みすぎ、すなわち力はあるがスタミナのない大腿四頭筋の酷使を防ぐことができます。
またパワーを入れる1点以外では、あえて脱力してリラックスするのも大切となります。
しかしながらこうやって腰を捻ってペダリングすると、上半身が揺れてバイクがなかなか安定せず、まっすぐ走れずに蛇行してしまうかもしれません。そこで大切になるのが、最初に戻って体幹で重心バランスを取るということです。
逆に云えば、重心バランスがきちんととれていれば、サドルの上で腰を振っても、バイクは蛇行しない。ポイントは、腰を振っても頭の位置は動かさず、また頭の位置を保つように腹筋や背筋を使ってバランスを取ることと、先にも書いたが腕やハンドルに過度に加重しないことです。