ロードバイクのハンドルはドロップハンドルという独特の形状をしています。ドロップハンドルは様々なポジションを取れるようになっているので、状況に応じて適切なハンドルのポジションをとりましょう。


ハンドルのポジション


基本ポジション

まずは基本となるポジションで「ブラケット」といいます。

ブラケット(STIレバーのゴムの部分)に親指をかけ、ブレーキレバーに人差し指をかけるポジションです。

人差し指だけをブレーキレバーにかける握り方を1本がけ、中指もかける場合は2本がけ、薬指もかける場合は3本がけと呼びます。

このポジションでは、すぐにブレーキをかけることができるため、一般道路で多用することになります。

路面からの振動で手がハンドルから離れないよう、小指はブラケットを下から包み込むように握ってください。


リラックスポジション

リラックスポジションといわれ、ハンドルの肩の部分を握るポジションです。 基本ポジションよりも、やや後方を握ることになります。

上体が起きるため、基本ポジションよりも呼吸が楽になります。 上達してくれば、手を前にずらすだけでブレーキをかけることができるため安全性も高くなります。

自転車道路など交通量がやや少ない場所での疲労回復に用いるポジションです。


超リラックスポジション

通称、「上ハン」と呼ばれ、ハンドルのクランプ部(ハンドルの付け根)を握るポジションです。 上体がかなり起きるため呼吸がとても楽になります。

交通量が少ない場所での疲労回復やヒルクライムで活躍します。上達すれば、平地で35kmでも上ハンを持ったまま走れるようになります。

このポジションでは、ブレーキをかけることができないため、使用する状況を適切に判断するようにしてください。

人や車、ロードバイクに近づく場合には余裕を持って基本ポジションに握り替えておくようにしましょう。

ロードバイクでは独特な形状をしているドロップハンドルを使いこなせてこそ一人前と言われます。ドロップハンドルと言われる所以のドロップ部分を持つことを強調しています。


攻めのポジション

通称「下ハン」と呼ばれ、ハンドルのドロップ部(下部)を握るポジションです。前傾姿勢がキツくなり空気抵抗が少なくなります。

また、すぐにブレーキをかけることができるため安全性も高くなります。高速走行や加速が必要な場面でこの自然にこのポジションがとれるようになれば中級レベルだと思います。

下ハンを握る事をことさら強調している本もあるようです。「下ハンを長時間握れなければならない」と言うような受け取り方をされるような表現になっていたりしますが、「下ハンは長時間握れない」と言うのが普通じゃないでしょうか。

下ハンはアタックポジションとも言われるように大きな力を必要とする時に握ります。ゴールスプリントのときや集団からアタックをかけるときなどに使います。

踏み込む力を大きくするにはそれだけ大きな力でハンドルを引く必要があります。背筋計で背筋力を計測する時に、遊び半分で持ち手を引く位なら前傾はきつくなりません。

しかし、おもいっきり持ち手を引くには前傾を深くする必要があります。その時の体制は決して楽な姿勢ではありません。

その他にも、おもいっきり跳躍する前に深くしゃがみ込むような姿勢になりますよね。その姿勢は楽な姿勢ではありません。

下ハンは腹筋・背筋ともに使うし、前傾がキツくなるので呼吸も苦しくなります。自転車も下ハンを握る時は大きな力を必要とする時ですから基本的に楽な姿勢ではないのです。

ロードバイクは長時間走る事が前提です。そういう窮屈なポジションでは疲労が蓄積するばかりです。

私の考えではハンドルのポジションを出す時は、ブラケットを握った状態を基準にする方が良いと思います。私の場合、乗車中の70%くらいはブラケットポジションになると思います。

このポジションがしっかり出ていれば70%は問題無く走れることになります。逆にいうと、何時間も下ハン握れるポジションって間違ってると思うんです。

長い時間下ハン握れるのが偉いんじゃなくてフラット部分を握る時、ブラケットを握る時、そして下ハンを握る時とそれぞれ使うべき所でちゃんと使えているかが大切だと思うんです。

最近気になっているのが初心者の方が、ドロップの少ないドロップハンドルに乗っていることです。ハンドルのドロップと言うのはフラット部分から下ハンまでの落差の事をいいます。

今までですと大体ドロップは13cm前後が多かったと思うのですが、最近はドロップがうんと小さいハンドルが多くあります。これを上級者の方が使うのだったら問題無いんです。

深い前傾のまま、ポジションがあまり変わりませんから、高出力を出せるポジションの中でフラット部分握ったり下ハン握ったりブラケットを握る事が出来るのです。

ところが初心者がドロップの小さいハンドルを使うと、最初のセッティングは少し高めの位置にハンドルを持ってくるでしょうから楽なポジションのままで下ハンが握れるわけです。

私の考えでは楽なポジションの下ハンでは大きな力は出せないのです。

そこへ持ってきて入門書に下ハンを長時間握れる事がカッコいいみたいな書き方するから、ドロップの小さいハンドルで長時間下ハンを握る初心者が出てくるんじゃないですかね。

下ハンとフラット部分の落差って言うのは、実は非常に重要なんです。下ハンを握る時と言うよりは下ハンを引く時と言った方がしっくりくるでしょうか。

下ハンを引く時は列車の先頭で後続を引く時や、向かい風の中を耐えて走る時、スプリントする時、下りで空気抵抗を減らす時などでしょうか。

ブラケットを握りっぱなしというのも問題ですが下ハン握りっぱなしも問題だと思うんです。もちろんずっと上ハンを握りっぱなしも問題ですよ。

状況に応じて、疲労を分散するためにも色々なハンドルポジションを握りましょう。