よくロードバイク乗りは「決戦時は軽いホイールを使ってるんだけど、トレーニング用の重いホイールを履いたら高速巡航時にスムーズに回るように感じた」と言う人がいます。

実際、私も軽量アルミホイールとして名高いR-SYSを履いていてトレーニング用のアクシウムに履き替えると高速巡航時に回ると感じます。


慣性モーメント

これにはいくつかの理由があります。単純に「リムやスポークの重さ」だけによる要因としてはひとつは慣性モーメント。

重いホイールは慣性モーメントが大きいので、回転力を溜め込むからです。もうひとつが曲者なのです。


「フライホイール効果」

車のエンジンは一般的にピストンの前後運動をクランクによって回転運動に変換しています。ただ、ピストンの前後運動はその移動速度が一定ではないので、それをクランクで回転運動に変換すると回転も不安定になります。

数千回転にもなるエンジンはそのままの状態だと振動などが駆動系に伝わりとても乗れたもんじゃなくなってしまう。

そこでクランク軸にある程度の重量を持った回転体を連結することで、エンジン回転の平滑化をしてるんです。

その回転体をフライホイールって呼んでるんです。これがロードバイクのホイールにも当てはまる。

クランクをペダルで回しているロードバイクですがその足の動きはどうなっていますか。そう前後(上下)運動ですよね?

その足の出力は一定?上下スピードは一定?

どれだけの人がキレイなペダリングが出来てるんでしょうか。恐らく極々一握り・・・競輪やロードの上達したトッププロくらいでしょうね。

僕ら上達していない一般ライダーはクランクにムラの無いきれいな回転運動を与えるレベルには到底及んでない。そう、エンジンと同じく回転が不安定なんですよ。

その「不安定な回転」を重たいホイールはフライホイールと同じような効果を生むので矯正してくれるんですよ。

なので、ホイール自体が回転を平滑化するので、とても「回ってる」感じになるんですよ。

重いホイールが「回ってる」感じがするのは、トレーニングしていないライダーの汚ないペダリングを誤魔化し、左右均等にクランクを回す事が出来なくても、フライホイール効果のお陰で、ギクシャクしたペダリングをしても速度の変化が少ないし、キレイに「ホイールが」回ってくれるから、振動も少なく、タイヤの変形も少ないから、路面の追従性もいいんです。