ロードバイクに乗っていて身体能力を向上させるためにはトレーニングを頑張ることはもとより、それと同じだけ大事な要素が二つあります。それは疲労回復(超回復)と栄養です。
ロードバイクにおいてトレーニングとはカラダに対する「負荷」という刺激と言い換えられます。その刺激を受けて、身体はその負荷に耐えられるようにカラダを強く変化させようとします。
成長ホルモンが分泌されて、カラダの組織を実際に再構成させていくのです。そのための必要な時間が疲労回復(超回復)であり、その材料が栄養、ということになります。
また、求める種類の身体能力の上達を得るためには、そのための刺激を与えなければなりません。追い込み速く走る能力には速く走る刺激を、中間強度で長く走るには中間的な刺激を、というように刺激をコントロールしてあげる必要があります。
そのためにハートレートモニターで運動強度(心拍数、HR)を狙ったターゲットゾーンに保ちながら行うのが心拍トレーニングです。
古い建物を理想的な建物に建て替えるとしましょう。どんな建物にしたいかを設計して(ターゲットゾーンHR)、一度壊して(トレーニング)、建築材料によって(栄養)、工期の間に作り替える(休養)、とイメージしてもらえればわかりやすいかと思います。
強いカラダ、高い能力は、休養中に築き上げられているのです。
このように大事な休養なのですから、疲労からの回復をするまでの時間を、トレーニングとトレーニングの間にしっかりと確保してあげる必要があります。休まずに頑張り続ければいいのではありません。
オーバートレーニングと呼ばれる、トレーニング過多の状態に陥ってしまい、やってもやっても向上しないようになり、カラダの不調に陥ります。逆に、怠けて休みすぎたらせっっく向上した能力も低下してしまいますので、そうならないよう回復し次第速やかに次のトレーニングを行う必要があります。
このようにトレーニングと回復のバランスが重要となります。
トレーニングを行い疲労するとパフォーマンスは落ちますが、その後、回復すると身体が負荷に適応してトレーニング前の水準よりも一時的にパフォーマンスが高くなるという現象がおきます。これを超回復といいます。
これは上記のしくみにより起こりますが、トレーニングではこの超回復のタイミングを利用していけば、能力を上達させ続けていくことが出来ます。
疲れたから休む、それがシンプルな反応ですが、日々の生活の予定のなかでトレーニング可能な時間との兼ね合い、狙ったゴールへの残された期間を考えると、行き当たりばったりは効率的ではありません。
ある負荷にたしいては、ある休養が必要になる、ということがわかっていますので、それを適切な回復を促すために、個々人に応用、利用していくようにします。
運動強度(心拍数)x運動時間=運動での総負荷
この総負荷がトレーニングにるカラダの疲労を示していて、その疲労からどれくらいの時間で回復したかをモニタリングしていくことで、どれくらいの適切な休養のバランスが判断出来るようになっていきます。
たとえば、ロードバイクで1時間という短時間での高強度のインターバルトレーニング、4時間のゆっくり長くの低強度のLSDトレーニング、あるいは2時間の中間強度のミドルトレーニング、いずれも場合によっては同じ総負荷になりえるということです。
その総負荷から、どれくらいの日数で疲労回復できたか、を体感や、データログの履歴からモニタリングしていくことで、自分自身の回復力に合わせた適切な休養時間が把握できるようになります。トレーニングとトレーニングの間にこの適切な休養を挟めば、超回復による継続的な向上が望めます。