ロードバイクでインターバル走やペース走など持久力をつけるためあらゆる練習を何百回も繰り返してきました。
これこそが魔法のトレーニングだ!!と感じたのがビルドアップ走です。この記事では、ビルドアップがいかに持久力に効果的なトレーニングかを解説していきます。
ビルドアップとは?
走り始めはポタリングくらいのペースで、そこから徐々にペースを上げていくというトレーニングです。持久力的に辛くなる後半にあえてペースを上げる事で、試合で粘れるようになると一般的には言われています。
具体的なビルドアップ走の例
10kmを、はじめの2kmは5’00、次の2kmを4’40、その次の2kmを4’20、そのまた次の2kmを4’00、最後の2kmはフリーで追い込みます。
これが、一般的に言われるビルドアップ走です。
上達してきたら距離を30kmにしてみたり、あるいはもっと短くしてみたり、タイムの設定もはじめと終わりの差が20秒くらいにおさまる程度にしたりと、細かい設定を変えることで目的や強度を調整することができます。
ビルドアップ走のコツ
とりあえずペースを上げていけばいいんでしょ?と思うかもしれませんが、これは間違いです。ペースを上げるのではなく、ペースが上がっていきます。
ペースを無理矢理あげない
ビルドアップはゆっくりしたペースから入って徐々に上げていく練習ではありますが、ペースを無理矢理上げてしまうと魔法のトレーニングではなります。
身体がそれ以上ペースを上げる事を拒んでいるのに無理をしてペースを上げてしまうと、無駄なところに力の入ったロスの多い走りになってしまうからです。
無理矢理ペースを上げると疲労ばかりたまって効果を感じられません。どのようにビルドアップ走をすればいいのか?
身体の声に常に耳を傾けながら、自然とおさまるペースで走り、身体が温まるにつれて勝手に上がってゆくペースに、身を委ねます。
これが魔法のトレーニングになります。
みなさんは、ポタリングやロングライドをしていたらなんだか勝手にペースが上がってしまった、という経験はありませんか?
ロングライドの時であれば「おっと、いかんいかん。抑えろ。」とペースを下げるのですが、ビルドアップ走ではここでペースを抑えずに、最後までペースを上げ切ってほしいんです。
乳酸性作業閾値(LT)を体感
自然にペースが上がっていって、そのまま上がり続けてオールアウト(疲労困憊)までいくのかと思いきや、ある地点でペースが上がらなくなるんです。感覚でいうと、そのペース以上のところに壁を感じる瞬間がくるはずです。
これがいわゆる乳酸性作業閾値、通称LTです。
乳酸性作業閾値(LT)とは?
ロードバイクでのトレーニング中には常に乳酸産生、乳酸利用が行われています。ペースが遅ければ乳酸利用の方が多いので血中(筋中)乳酸濃度は低いままですが、あるペースを境に乳酸産生量が乳酸利用量を上回り、乳酸濃度が高くなっていきます。
この分岐点の事を「乳酸性作業閾値(LT)」といいます。
ビルドアップ走で順調にペースをあげていくとLTペースで「あっきつい」と思うはずですが、練習で言えばここからが一番アツいです。なぜならLTを向上させるのに最も有効なトレーニングの一つが、LTペースで走ることだと言われているからです。
他のメリット
他のトレーニングよりもスタート前が気楽
インターバルやペース走ってスタート直後からきついのもあって、スタート前の憂鬱感がハンパじゃないですよね。その点、ビルドアップではスタート時のペースが遅くていいため、気が楽です。
ウォーミングアップがいらない
スプリントやインターバル練習のときってウォーミングアップに何十分もかけないといけないのが面倒ですが、ビルドアップならウォーミングアップなしでスタートできちゃいます。やったとしても、数分の軽いストレッチで十分です。
体に負担が少ない
”無理にペースを上げない”というお約束があるため、やはり気が楽です。「あれー?今日はなんかペース上がんないなー」って日は、ペース上げなくていいんです。
一人でも限界まで追い込める
”無理にペースを上げない”という主張と若干矛盾するようですが、ビルドアップ走の後半はさすがにきつくなります。とはいっても、変に力んだきつさではなく、いい動きのまま維持できているけど、集中力を保つのが辛くなってきたというきつさです。
他の練習メニューだと、一人でこの辛さに耐えるのはかなりの精神力を要しますが、ビルドアップ走では案外集中力を維持しやすいです。
おそらく、前半に無理をしていないという所がポイントなのでしょう。他の練習(インターバル走とか)だと前半から辛いから、後半踏ん張る気力がなくなっちゃったりするんですよね。
ビルドアップ走という魔法のトレーニングをするとLT閾値が上達し今までより楽にロードバイクを走らせることができるでしょう。