脚力を鍛えるために、一番手軽な方法は階段の昇り降りです。

通勤、通学途中の駅に階段を昇り降りするという方もいらっしゃると思います。

もし近くに10階以上のマンションやオフィスビルなどがあれば、階段を使ってトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。

天候に左右されることもなくかなりの筋力と持久力が鍛えられ、ペダリングの上達が狙えます。


1.ハムストリングスを鍛える昇り方

有森裕子さんが7年ぶりにマラソンを再開する際も、早朝にマンションの階段を使ってトレーニングを開始したそうです。

駅ではエスカレーターを使わずに意識して階段を昇っているという方も多いのではないでしょうか。

身近にある階段を本気で昇ることで、ロードバイクのペダリング上達に必要なトレーニングを積むことができます。

トレーニングの効果を最大化するためには、ただ闇雲に階段を駆け上がるのではなく、使う筋肉を意識して昇り降りすることが重要です。

日常生活の中では、多くの人が太腿の前面の筋肉、大腿四頭筋とひざ関節を使って階段を昇っています。

下段の足に重心を残したまま、上段に足をかけ、膝を曲げながら少しずつ上段の足に重心をスライドさせ、膝を伸ばすことで完全に上段の足に重心を移して昇りきる、というのが一般的な階段の昇り方です。

つまり大腿四頭筋の伸縮で膝関節を屈伸させて階段を昇るということになります。

日常の動作の中で、無意識に大腿四頭筋を使う癖ができていしまっているので、ロードバイク初心者は、ペダリングの際にも、大腿四頭筋に頼りがちです。

しかし、大腿四頭筋を使ったペダリングは疲労が大きく、坂や長距離を走ることはできません。

また、連動してふくらはぎにも力が入るため、足が太くなる傾向があります。


2.ハムストリングスを意識したトレーニング

ロードバイクのペダリングで意識すべきは、腿の裏側の筋肉、ハムストリングスです。

同じ階段を昇る動作でも、筋肉の使い方を少し変えるだけで、ペダリングに必要なハムストリングスを鍛えることが出来るようになります。

階段を昇る際、股関節を意識して足を前に踏み出すようにしてみましょう。

膝が曲がってしまっても構いません。

イメージとしては膝を曲げるというよりも、腸腰筋を使って、足を付け根から前に出すということを意識してみてください。

次に、上の段に踏み出した足の股関節を収縮させて、上半身をひきつけ軽く前傾します。

踏み出すと同時に重心を前方にスライドさせて、上の段の足に重心を乗せます。

重心を移すタイミングが微妙に違うだけですが、それでも意識する筋肉の部位が変わるので、トレーニングの効果も変化します。

注意しなくてはいけないのが、上半身の姿勢です。

重心移動の際、どうしても前傾姿勢になるため、目線が下がり、猫背になりがちです。

はじめのうちは、意識をしないと重心の移動が難しいかもしれませんが、身体が動きを覚えてしまえば、階段の昇り降りだけで立派なハムストリングスのトレーニングになり、足の引き付けが早くなり、ペダリングが上達します。

一方、下りの場合は着地による衝撃を吸収するために、大腿四頭筋を使います。

膝が内側に入ってしまったり、外側に向いてしまわないよう注意しながら、リズミカルに降りていきましょう。

リズミカルと言っても、階段を一段飛ばしで降りてしまうと、反動や反射の力を使ってしまうので、筋肉を十二分に使えなくなります。

むしろ1段1段、動かしている筋肉を確かめながら昇り降りする方が、トレーニングの効果が期待できます。


3.階段でインターバルトレーニングを行う

階段を利用して、緩急をつけたインターバルトレーニングを実施する事もできます。

タバタ方式というトレーニング方法をご存知でしょうか。

タバタ方式とは、田畑泉博士が提唱するトレーニング方法で、20秒の高強度運動と、10秒のクールダウンを交互に8セット行うことで、高いトレーニング効果が期待できるというものです。

20秒間、全力で階段を駆け上がり、10秒間ゆっくり下りながら呼吸を整えて、また20秒間全力で・・・というトレーニングを8回繰り返して1クールとなります。

これを3クール繰り返すだけで、しばらくは立ち上がれないほどの、トレーニング負荷になります。

このタバタ方式のインターバルトレーニングを用いることで心肺機能を強化する事もできます。

トレーニング用のアプリケーションや音楽なども発売されていますので、ぜひ有効に活用しながら、効果的な階段トレーニングを行ってみてください。