トレーニング面を考えてみたとき、ロードバイクは実にシンプルなスポーツだと思う方もいるだろう。しかし、ペダリングの仕方およびペダリング効率、ケイデンスを最大限にするためにはどうしたらいいかといった理論が、長きにわたって発展してきているのも事実です。

臨床的見地からすると、自転車は固定された弧を描きながら動く両脚を支えているといえます。丈夫な靴を履き、シュークリートをペダルに固定し、基本的に足がクランクアームの先端に取り付けられているというわけです。

ペダルを回したとき、この「閉鎖された環」は極めて予想に近い動きを見せ、人によってスタイルが違ってしまうということはほとんどありません。

実際のところ、ペダリング中の足の動きのパターンについての研究を見てみると、運動レベル、地形、シッティングかダンシングかに関係なく、全サイクリストの足の動きはかなり似通っています。

これは、ランナーの脚の運びや水泳の自由形での腕の動きが千差万別であるのとは対照的だ。つまり、ここで一番大切な問題は、ペダリング技術を磨くことでパフォーマンスは向上するのか、するとすればどのようにすればいいのか、ということになります。


足の動き

サイクリストたちは多くの方法を使って代謝効率(ある値の酸素消費量に対する出力の値)を向上させようとしてきた。その中でもとりわけ、上方向に足を引き上げることを強く意識してペダリングしたり、足首の角度をいく通りにも変えてみたりするといったことが目立つ。

そうしたテクニックの正確なメソッド、用語、説明は、あなたが誰の指導法の本を読んだかによって異なる。はっきり言っておくが、それらのメソッドが、単純に片足ずつペダルを「踏む」ことに集中することに比べてめざましく効率が向上するといった証拠はどこにもない。

強い選手たちは遅い選手たちよりもペダルを強く踏む、だからこそ彼らの方が速く走っている。ペダルを踏むこと以上に足の動きを解析しない。


高ケイデンスがいいのか?

プロ選手たちが高ケイデンスを使うのは、TTまたは20~60分の登りで400~500ワット出すからです。

ステージレースにおいては高ケイデンスで走行したほうが回復しやすい。だからエネルギー温存のために彼らはこの走行法を選びます。

したがって、ランスはTTのときケイデンスは100rpmで、出力450ワット以上を維持していました。ここまでの力のない選手たちは250~350ワット、よってケイデンスもかなり低くなり、75~85rpmとなります。

これは登りのとき特に顕著で、多くのサイクリストが70rpm程度で代謝効率(そして登りの能力)を上げることができる。

ルール3:自分の出力に合ったケイデンスを選択すること。ゆっくりとしたライティングやウォームアップにはより低いケイデンス、一方で高いエネルギーを使うTTではより高いケイデンスを使うことです。

エリート選手でない限り、85rpmを超えるケイデンスで走ってもあまり得るものはない。


効率的に実力を上げるための5つの「してはいけないこと」

1.固定ローラー台の練習に集中しないこと。これは効率の上がるものとはいえない。代わりに、バランス感覚、調整、よりスムーズなペダルの動きのために3本ローラーを使用すること。

2.高負荷のインターバルトレーニングに重きをおきすぎないこと。効率向上に役立つという証拠はない。道路でピストまたは屋内でより低負荷でのスピンバイクトレーニングのほうがよりトレーニング効果が生まれやすい。

3.パワークランク(左右が独立しているクランク)は買わないこと。テストされたが効率向上には意味がないということがわかっている。

4.突然炭水化物を抜いたり、体を慣らそうとして長距離走行のとき食べ物を摂ることを制限しないこと。これは病気とハンガーノックを起こすだけだ。

5.110rpmまたは120rpmと、あまりにも高ケイデンスで走行しないこと。あなたに400~450ワット出せる実力がない限り、ペダルを下に押すのでなくただ空気を下に押しているだけになる。


効率的に実力を上げるための4つの方法

1.3本ローラーに乗ること。現在ワイドスクリーンのトレーニングシステムが固定ローラー台と接続できるとあり、シンプルな3本の棒だけで出来たこの機械は見落とされがちです。

しかし、トラック競技者、タイムトライアリスト、シクロクロスの選手たちは、効率的なプログラムの1つとして3本ローラーの練習を取り入れている。短期間で1~2%代謝効率も向上し、スムーズなペダリングスタイルを取得することができます。

2.もっとロードバイクに乗ること。距離乗れば乗るほど効果的という直接的な数字はここにはないが、上達したライダーは週に数回ロードバイクに乗ります。

バイクに乗る回数の最低レベルは決めておかなくてはならない(どのレベルの人も)。使用ケイデンスをいろいろ変えてみる、バイクの種類(ピスト、オフロードMTB、またナイトライドなど)を変えてみて、ハンドリングスキルを磨けば、より良い乗り手とバイクとのパートナーシップを手にすることができるだろう。

3.真円形状でないチェーンリングを使ってみる。Q-Ringフロントチェーンはペダル効率性を上達させることができます。ダウンストロークで抵抗を増やし、ボトムとトップのストロークで楽にペダリングでき、特に登りで新しいペダリングスタイルについて考える必要なく楽にペダルを回すことができます。

4.ケイデンスを変えて走ってみる。非常に低ケイデンス(例として50rpm、大きなギアでスムーズに、負荷をコントロールしながら)から筋肉繊維を燃やすために速い8秒スプリントまで。

一定の楽なケイデンスやスピードで走るよりも効果があります。ケイデンスを変えて走ることで、体の神経、筋肉、エネルギーシステムが対応するため作動しようとします。