ロードバイクで使う筋肉は脚だけではありません。ペダルを回すこと以外にも、姿勢を維持したり、ハンドルを制御したりするとき、上半身を中心にからだ全体の筋肉に負荷がかかっています。
そこで上半身・下半身それぞれの筋肉の役割を知ることができれば、ライド中に今どの部位を使っているかを意識することができ、そのあとで自分が足りないと思う部分を集中して筋力トレーニングします。
以下では、私が実際にジムでトレーナーに組んでもらったメニューで鍛えた部位をもとに、ロードバイクで速くなるために最も必要な筋肉とその役割を説明します。
上半身で重要な筋肉
上半身は7つの筋肉が重要な部位となり、1→7の順番で鍛えるのと効率が良いです(大きい筋肉から順番に進めていきます)。
6、7の腕まわりの筋肉は、ほかの筋肉を鍛えているときにも負荷をかけられているので、時間がないときは省いても構いません。
1胸(大胸筋)| 2肩(三角筋)
胸や肩の筋肉はロードバイクに乗っているだけでは鍛えにくい部分。直接スピードに影響する部分ではありませんが、正しいフォーム、力強いスプリント、安定した登りなどでは不可欠です。
この筋肉の役割
・腕に続く体重を支え、姿勢を安定させる
・ダンシング時にバイクが左右に振られるときに安定したフォームを維持できる
・バイクのブレなど推進力以外の無駄な力を抑えこむ
・荒れた地面の衝撃を吸収する
筋トレメニュー例、プッシュアップ(腕立て伏せ)、ショルダープレス、チェストプレス
3背中1(後背筋)| 4背中2(脊柱起立筋)
背筋はロードバイクの前傾フォームの根幹となる筋肉。背筋が鍛えられていなければ正しく安定したフォームができないし、すぐ疲れやすくなってしまいます。
前傾姿勢のときに違和感があるのであれば、まず最初に筋力トレーニングするべきです。
この筋肉の役割
・前傾姿勢を楽に維持する
・骨盤と脊椎を安定させ脚のパワー効率を最大化する
・ヒルクライム時に安定したパワーを出す
筋トレメニュー例、プルアップ(懸垂)、プルダウン、バックエクステンション
5腹(腹直筋)
腹筋は上半身と下半身の基盤となる体幹。体幹トレーニングが自転車でも必要だと言われるように、腹筋は骨盤から脚にかけてクランクをまわすためのパワーを効率よく伝えるための根幹になります。
この筋肉の役割
・ペダリング効率を上げる
・下ハンドルポジションのバランスを維持する
・呼吸を楽にする
筋トレメニュー例、クランチ、プランク
6腕前(上腕三頭筋)| 7腕後(上腕二頭筋)
自転車と直接の接点を持つ両腕です。ハンドルに力を込めたり抜いたりしてバイクコントロールに重要な役割を果たします。
長時間のライドで腕が疲れてしまう場合は筋トレで補うのが効果的です。
この筋肉の役割
・ペダリングで左右に振れる自転車を安定させる
・長時間のライディングを疲れなくする
・スプリント時のハンドルの引き上げを強くする
・ダウンヒルの安全性を向上する
筋トレメニュー例、ケーブルプレスダウン、ケーブルカール
下半身の3つの筋肉はロードバイクに乗っていても鍛えることができますが、筋トレのやり方により脚質を調整することができます。
貧脚だと感じる場合は重い負荷で少ない回数で筋肥大化させ、脚が太すぎると感じる場合は軽い負荷で回数を多くしてスリムアップさせます。
8もも前(大腿四頭筋)| 9もも後(ハムストリング)
スムーズなペダリングのためには、ももの表と裏がバランス良く発達していることが理想です。
大腿四頭筋は時計の0時(上死点)前後の踏み込み、ハムストリングは6時(下死点)前後の引き足で活動し、双方が交互に円環を描くことできれいで上達したペダリングが可能になります。
筋トレメニュー例、スクワット、レッグエクステンション、レッグカール、レッグプレス
10ふくらはぎ(腓腹筋)
腓腹筋は、8もも前と9もも後による回転運動を足首からペダルに向かって安定して伝えるために大切な役目をします。
筋トレメニュー例、カーフレイズ
一般サイクリストはほとんど週末しか乗ることができないため、オン/オフの区切りはあまりないと思います。そこで平日1日だけでも筋力トレーニングを取り入れることで、ウィークデイに衰えがちなパフォーマンスを維持することができます。
コツコツやるだけで効果は目に見えて上達するので、無理のないペースで始めてみてはいかがでしょうか。