ロードバイクに乗っていて仲間についていけないとか、スピードアップされて途中でチギれるとか体験したことありませんか?
今回は仲間についていけるよう上達し、スピードアップのためのトレーニングについて紹介します。
1.スピードをあげるには?
スピードアップするには、1歩あたりのトルクを上げるか、ケイデンスを上げる、もしくはその両方を行えばスピードは上がります。高いトルクがあればギアを上げることでスピードは上がりますし、ケイデンスを上げられれば同じギアでもスピードは上がります。
一般的にダッシュ力とは低速や中間速度域から加速する力を表していますが、スピードと言えば「速い速度で走り続ける事」を意味すると私は思っています。
もちろん瞬間的に出せる速さをスピードと言うことも出来ますが、レースに於いて「スピードがある」と言えば一定以上の時間それを維持出来ることと考えています。
高い出力を続ける為には1歩あたりのトルクを上げるだけでなく、その際のエネルギー代謝がスムーズであることが求められます。
持続的なスピードを維持出来る高いトルクを発生させ続ける為には、速筋を稼働させたために生じたピルビン酸や乳酸を、持久系の遅筋で酸化処理(エネルギーとして消費)する能力も高くなくてはならないと言うことです。
2.股関節が重要
ロードバイクを走らせるパワーは主に股関節の伸展と膝関節の伸展によって生み出されます。もちろんこれらの関節を動かす筋肉は日常の生活でも使われています。
特にスポーツをしていない人の場合、歩いたり、階段を登ったりする時の様に脚力を必要とするときには殆どの場合膝関節を使って動いています。それに対して股関節を動かす筋肉は立ったり座ったりしている時に身体を安定させる為に使う事が主な仕事になっています。
これは何を意味しているかというと、膝関節を動かす太ももの表の筋肉”大腿四頭筋”はトルクを出しやすい速筋線維が発達し、股関節を動かすお尻や太ももの裏の筋肉”大殿筋・ハムストリングス”は持久系の遅筋線維が発達しやすい環境におかれていると言うことです。
ロードバイクを走らせるパワーは股関節伸展・膝関節伸展の両方でパワーを発揮しなくてはなりません。しかし日常生活で作られた筋肉は股関節伸展では持久系、膝関節伸展ではトルク系の筋肉が偏って強化されています。
つまりレースで戦うために必要なレベルのスピードを手にする為には、まずこの筋肉のバランスを改善する必要があります。
さらにもう1つ重要な事があります。日本のトップ、そして世界で戦うことを夢見ている選手には必ず理解して欲しい事です。
実はダンシングポジションとシッティングポジション、そしてシッティングポジションでもサドルの高さや前後位置によって股関節と膝関節の出力の割合が変わってしまうと言うことです。
股関節の出力
・ダンシングポジション 股関節の出力 ≪ 膝関節の出力
・シッティングポジション 股関節の出力 > 膝関節の出力
・シッティングポジション時
サドル高い/重心前 股関節の出力 ⤵ 膝関節の出力 ⤴
サドル低い/重心後ろ 股関節の出力 ⤴ 膝関節の出力 ⤵
ここでスピードを出す場合のポジションを考えて見ましょう。
ダンシングポジションではケイデンスを上げた状態で維持する事は難しいので、スピードを出すためにはシッティングポジションで走る事になります。先ほどもお話ししたように、元々持っている筋肉のバランスは膝関節伸展はトルク系、股関節伸展は持久系の筋線維が発達しています。
その為ダッシュ時には膝関節の出力を優位にしたダンシングポジションで走る事で問題はないのですが、スピードを出すためにはシッティングポジションに移行しなくてはなりません。
その時中心的に働く股関節伸展の筋肉(大殿筋・ハムストリングス)は持久系が発達していてトルク系の筋力強化が不足しているのです。
ここまで細かく説明すれば察しの良い方はもうお解りですよね。そうなんです。
スピードを上げるためには股関節を伸展させる大殿筋とハムストリングスのトルク系の強化をしなくてはならないと言うことです。
上達していない初心者にありがちなサドルを高くするポジションは膝関節を使うということです。