ロードバイクでヒルクライムを速く走るには、ペダリングや筋力トレーニングだけではありません。あまり意識しないと上達しない呼吸とヒルクライムに関係があります。

海外の記事がありましたので、紹介したいと思います。


ヒルクライムと呼吸の関係?

これまでケイデンスやメンタルコーチングと一緒に、呼吸について言及しているクライミングの記事を目にしてきましたが、あまり参考になるとは思えませんでした。

私の頭の中にあるクライミングの方程式はいつもシンプルで「軽い体重=クライミングに有利」というものです。

でも体重については意識はしていましたが、食べるものの内容に気をつけるだけで徹底した食事管理まではしようとは思わなかったんです。だから最近になって体重以外の別の方法を試してみようと決めたんです。

冬の火曜日の夜のヨガクラスの後に、ヨガの先生が呼吸のエクササイズがいかにロードバイクにも役立つか繰り返し話してくれたので、自分の先入観はとりあえず脇に置いて、呼吸とやらにもチャンスを与えてみることにしました。

そしてあるとき、Combe Laneの丘の登りで息も絶え絶えに短く浅く呼吸しているのに気付いたとき、呼吸を長くてゆっくり深いものに代えてみたわけです。そしたら違いは覿面でした。

もっとゆっくり呼吸すると、ずっと落ち着いた気分になって、(身体的にか心理的にかはともかく)登るのがずっと楽に感じられたんです。自分のだいぶ先にいたロードバイクに瞬く間に追いついちゃったんですよ。

個人的な逸話じゃたいした証拠にもならないかもしれませんが、とにかく一体何がどうなったのか、スポーツ心理学の専門家のJosephine Perryに聞いてみることにしました。


専門家の意見

「呼吸は全てのスポーツの活動時において非常に重要です。身体の全ての動きが脳へフィードバックされ、私たちがどのように感じるか脳がシグナルを与えるのです。

もし短くて浅い呼吸をすれば、それは脳に私たちがパニックあるいは苦境に陥っていると知らせことになるのです」とJosephine Perryは話す。

Perryによれば、激しい身体活動はより多くの酸素を筋肉に送るように要求するが、ヒルクライムのときに私たちがやってしまいがちな短くて浅い呼吸は、いつもすべて身体的な必要性から引き起こされているわけではなくて、その命令はしばしば私たちの脳から送られてくるそうです。

「とくにサイクリング初心者の場合、登りというのはとても手強く気力をくじくものに思えるかもしれません。そうすると脳は、『とても登れそうにない』『速度も遅くなるだろう』『途中で登れなくなるかもしれない』とあなたに語りかけてきて、あなたに短く浅い呼吸をさせるのです。空気を求めて喘げば良いパフォーマンスができるはずもありません。」

「速い呼吸は私たちを警戒させ、心拍を速めます。それに対して私たちの脳は身体をスローダウンさせるような反応をとるのです。

それは望ましいことではありません。ですから、登りが近づいてきたら、身体にそうした反応を取らないように言い聞かせることが大変有益なのです。

知識を得たのはいいけど、じゃあ実際にはどうしたらいいのだろう?

「こうした状況を乗り越えるために、3つの方法を伝授しましょう。まず、呼吸に集中すること、次に深く呼吸することを学ぶこと、そして自分自身に登りが好きなんだということを信じ込ませることです。」


ヒルクライムの3つのコツ


呼吸に集中する

もし、登りをアタックすることに極度に集中してしまうと、瞬く間にあなたの呼吸は速くなって乱れ、心拍数も上がってしまいます。

そして脳はあなたが今非常に厳しい局面にあることを告げるでしょう。その代わりに呼吸に集中すれば、自分のペースでより一貫して進むことができ、苦しいという感じもブロックすることができるはずです。


深く呼吸する

私たちは毎日無意識に呼吸していますが、ほとんどの人は深く呼吸することを学んだことやトレーニングしたことがなく、呼吸を使って身体をコントロールする方法もわからないのです。

呼吸があなたをコントロールするのではなく、あなたが呼吸をコントロールすることを学ぶことはとても有益です。とはいえ、深い呼吸の訓練は、いきなり登りで実施するのではなくまずは安全な環境の元で行うべきです。


自分自身に登りが好きなんだということを信じ込ませる

「もし登りを前にしてネガティブな考えに囚われてしまえば、すぐに恐怖と緊張の状態に落ち込んでしまい、あなたの呼吸は乱れ、身体全体もこわばって、登りが一層困難になってしまいしまいます。

もし、自分自身に登りが好きなんだということを言い聞かせることができれば、あなたの身体はずっとよく反応するのです。そのためのひとつの方法として、ネガティブな考えを意図してポジティブなものへとその意味づけを変えてしまうというやり方があります。

たとえば、『登るのが嫌い』ではなく、『登る度にヒルクライムが得意になっていく』とか『全ての登りは自分を強くしてくれる』といった具合にです」

皆さんも一度ゆっくり深い呼吸のトレーニングをして、ヒルクライムにチャレンジしてみてはどうでしょうか。思わぬ発見・上達があるかもしれませんよ。